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8Kの映像を活用した学生への講義 (NHKの番組収録)

NHKの番組制作のため、1月と2月の5日間にわたり順天堂大学、順天堂医院と練馬病院にて撮影が行われ、シミュレーションセンターもその会場として使用されました。

この企画は、順天堂大学ジェロントロジー研究センター長の佐藤信紘特任教授が主宰する、遠隔共存医療コンソーシアムが主体となり、医療現場で8Kカメラ、8K内視鏡の技術を用いた「遠隔遅延なし超高精細画像伝送システム開発」をテーマに、NHKと本学が連携することで、放送技術の成果が医療に貢献し医学教育の新しいステージを開拓することを願い、実現されたとのことです。

 

1月17日に行われた当センターでの講義は、心臓血管外科の田端実教授による「内視鏡下僧帽弁手術」の8Kの手術動画を視聴しながら、田端先生ご自身の解説にてM3-M6の学生を対象に行われました。

事前に練馬病院で8K内視鏡カメラ(オリンパス製)にて僧帽弁の手術が撮影され、講義では8Kの大型モニター(SHARP製)で視聴しました。

 

8Kの手術映像では、血管や組織、また針や糸などの微細なものの、色彩・形状・明るさなどが大変鮮明に映し出されていました。デジタルズームで拡大されても画質が落ちないとのこと。また、8Kでは組織の繊維の色までが鮮明にわかり、例えば乳頭筋が黄色や白やピンクにはっきりと区別して映し出されるため、手術中に判別しやすいなどのよさがあるそうです。これはハイビジョンではできなかった技術のため、確実に手術がしやすくなっていき、手術の質もますます向上していくとのこと。また、術野に入れていない人は何をやっているか見えないし、術者も8Kの映像ほど鮮明に見えていないそうで、8Kの技術はこれからとても必要になってくる、と田端先生はおっしゃっていました。授業では、学生から心臓手術の専門的な内容や8K技術が今後、医療へどのような活用を期待するかなどの質問が活発に行われました。

明快で且つ細やかに解説される田端先生の講義の様子。80インチの大画面で映し出された手術の映像。

 

講義の最後には次々と質問が寄せられました。
田端先生は「いい質問だね!」と一人一人の質問を受け止めながら丁寧に回答されていました。

 

手元のタブレットでは、見たい部分を拡大して見ることができます。

 

2月7日には、「8Kカメラで生命の躍動を見る」をテーマに佐藤信紘特任教授の講義が行われ、細胞や分子、ゲノムの機能や構造を8Kで見る(視る)ことがいかに今後の研究に進化をもたらすかなどを熱くお話されました。学生からは「あまり鮮明でない2Dで解剖や基礎医学の勉強をしてきたときはぼんやりとしていた知識が、8Kの鮮明で細微な映像で見るととても理解しやすかった。」など、今後の医学教育に向けた明るい感想がたくさん出ていました。

8Kの大画面モニターを使用すると、このように鮮明かつ細微に映し出されます。

 

学生の質問に対して嬉しそうにお答えになられる佐藤先生

 

最後に「今後、超高精細画像の技術が益々進化するときに、研究や開発して牽引していくのは皆さんのような若い先生です」と託すようにおっしゃられ、締めくくられました。

 

 

この他、1月7日には本院総合診療科の内藤俊夫教授が、練馬病院の患者さんを遠隔診療する様子を、1月16日には練馬病院で行う心臓血管外科天野篤教授の冠動脈バイパス手術をリアルタイムで本郷キャンパスの授業にて配信し、同時に解説も行う様子が撮影されました。遠隔診療(オンライン診療)は8K硬性内視鏡で耳や鼻、喉の診察を、バイパス手術では8K内視鏡で術野を映しています。

今回撮影された8K技術の医学教育への効果について、どのような番組になるのか、当センターもとても楽しみにしております。

 

最終日に行われたインタビューの様子