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第19回医療体験キッズセミナーを開催しました! NEW Release!!

11月29日(土)、第19回医療体験セミナーを開催いたしました 。今回は小学4年生から中学3年生の25名を対象に 、VR技術を駆使した内視鏡や血管内治療、産婦人科のエコー、外科の縫合など、6つのブースで本格的な医療体験を実施しました 。

今回の目玉は、初の試みである「職員親子の職場体験」です。普段は「お父さん・お母さん」である職員が、この日は各専門領域の指導医・指導者として子供たちの前に立ちました 。

気管挿管や電気メス、分娩介助といった命の現場に触れる親の姿を間近で見た子供たちは、驚きと尊敬が混じった表情を浮かべていました。まさに、教科書には載っていない『かっこいい親』の秘密を五感で体験する時間となりました。

一般参加の子供たちとの交流も非常に活発で、「もっと体験時間が欲しかった」 という嬉しい悲鳴も上がるほど。25分×6ブースという密度の濃い150分間は 、子供たちにとって一生忘れられない「医療への入り口」となったはずです。

 

【開会式】

参加者は全員手術ガウンを着てスタートです。進行は産婦人科の竹田純先生。指導陣の自己紹介の後、事前アンケートで寄せられた質問に答える「アンサーコーナー」を今回初めて設けました。参加者からの質問には、「手術で縫合をしているけれどお裁縫は得意ですか?」といった、大人も「なるほど!それは聞いたことがない。ぜひ聞いてみたい!」と思ってしまうような内容もあり、質問に対し医師や看護師、学生が丁寧に回答していました。

竹田先生よりご挨拶😊

 

事前アンケートの質問に対するアンサーコーナーに答える看護師の堺さん。
 

「お医者さんの一日のスケジュールは?」「血を見るのは怖くないですか?」などの質問に答えました。

 

グループ引率のチューターは医学部の学生です。

 

 

麻酔科ブース:気管挿管・採血体験】

不安を「なるほど!」に変える、麻酔科医の魔法を体験

河邊千佳先生、上田要先生をはじめとする専門チームが、子供たちの目線に立って丁寧に指導しました 。今回のセミナーで、多くの参加者が「ドキドキ」と「不安」を抱えていたのが採血体験です 。小学4年生からという多感な時期、針への苦手意識を持つお子様も少なくありませんでした。

しかし、ただ手技を学ぶのではなく、「なぜ採血が必要なのか」「医療者は痛みを感じさせないためにどんな工夫をしているのか」というプロの知恵をまず学びました 。その上で、シミュレーターを使って実際に針を刺す訓練をすることで、「怖い」という先入観が「仕組みへの理解」へと変化。事後アンケートでは「針への不安がなくなった」という心強い意見も届きました。

一方、気管挿管ブースでは呼吸管理に挑戦。最新のシミュレーターと聴診器を使い、リアルな呼吸音を確認しました 。ドラマなどでよく見るお医者さんの姿を自分自身で再現することで、命を守る現場の緊張感と達成感を肌で感じる時間となりました。

気管挿管の体験。気管がどこにあって、気管挿管は何のためにするのかについてレクチャーを受けました。

 

 

肺に空気が入ったかを聴診器で確認。呼吸の音はシミュレーターで聞いてみます。

 

逆血することによって針が血管に入ったことを確認。

 

初めはドキドキしながら針を刺していましたが、繰り返し行うことで「怖い」という先入観がなくなったようです。

 

 

【産婦人科ブース:胎児エコー・普通分娩体験】

「いのち」の重さをその手に。親子で学ぶ、誕生の軌跡

産婦人科ブースでは、竹田純先生、尾崎理恵先生の指導のもと 、妊婦さんのシミュレーターと胎児の人形を用いて、実際のお産を介助する体験を行いました。

体験の前には、お腹の中で赤ちゃんがどのように成長していくのかを学ぶレクチャータイムを設けました 。知識を持ってから体験に臨むことで、エコーに映る赤ちゃんの姿や、自分たちの手で取り上げた瞬間の重みを、より深い感動とともに受け止めていただけたようです。

参加した子供たちからは「赤ちゃんと関われて楽しかった」、保護者の皆様からも「自分自身がとても勉強になった」というお声を多数いただき、生命の尊さを親子で共有する貴重な時間となりました。

 

胎児エコーのシミュレーション。産科用の超音波診断装置(エコー)で胎児(おなかの中の赤ちゃん)を観察します。

 

胎児の全身の長さや頭の大きさなどを計測したり、心臓の拍動を観察したりもしました。

 

分娩シミュレーションの様子。何度も行われ、今日もたくさんの赤ちゃんが無事産まれていました!

 

赤ちゃんが産道を通ってきて産まれるまでの過程を、取り上げる側と押し出す側(お母さん)の両側の立場でシミュレーションしました。

 

 

【外科ブース:電気メスによる腫瘍摘出・縫合体験】

気分はトップ外科医。本物の術衣と電気メスで挑む「手術の最前線」

外科ブースでは、橋口忠典先生、土谷祐樹先生、杉本起一先生が実際に手術現場で使用されている電気メスを使い、疑似腫瘍の摘出に挑戦しました 。今回はさらに、本物の手術衣(術衣)を着用して体験に臨んだことで、ブース内はいつにも増して本格的な臨場感と緊張感に包まれました。

電気メスを巧みに操り、標的を綺麗に摘出できた瞬間には、指導にあたった医師やスタッフから「上手にできたね!」と温かい声がかけられました。参加した子供たちからは、事後アンケートで「褒めてもらえて嬉しかった」「本物の先生に認めてもらえて自信がついた」といった、指導スタッフへの感謝と称賛の声が相次ぎました。

技術を学ぶだけでなく、プロの外科医との交流を通じて「手術の醍醐味」を肌で感じた、非常に充実した体験となりました。

 

電気メスで腫瘍(病気の部分)のくり抜く(切削)体験。使われていた模擬臓器はなんとコンニャク製でした!皆さん、気付きました?

 

縫合ブースの様子。針を持つための器具(持針器と鑷子ピンセット)の持ち方から教えてもらいいざ実践へ!

 

お裁縫の針の形と違い湾曲(カーブ)している半円型の針で縫うのでとても難しいです。

 

 

VRシミュレーション:内視鏡&内視鏡SASUKE】

最新VRから「果物キャッチ」まで!内視鏡の達人を目指して

このブースは、上田久美子先生が担当です。まずチューターの学生から内視鏡の仕組みについてレクチャーを受け、VR(仮想現実)シミュレーションを体験しました 。モニター越しに仮想病変を発見した際、子供たちは「早期発見と正確な診断」がいかに大切かを、身をもって体感している様子でした 。

レクチャーの後は、実際のカメラと治療器具を使用したタイムトライアル「内視鏡SASUKE」を開催 。果物や輪ゴムをキャッチする課題に、小学生・中学生それぞれの部で熱い火花を散らしました 。

小学生・中学生共に1位に輝いたのは、なんと1分間に2個の果物をキャッチした参加者です! 遊び心溢れる競技を通じて、ミリ単位の操作が求められる内視鏡技術の難しさと楽しさを同時に学ぶ、笑顔の絶えないブースとなりました。

 

学生から「内視鏡はどんな機械なのか」という説明をしてもらった後…

 

VR内視鏡シミュレーターでカメラ(スコープ)の使い方を体験。胃の中を検査をしました。

 

最後は内視鏡カメラの鉗子(かんし)を使って輪ゴムや果物狩りのゲーム!

 

 

 

【VRシミュレーション:血管内治療(脳血管・心臓血管)】

ミクロの技術に目がキラキラ!脳と心臓の血管治療に挑戦

血管内治療ブースでは、脳神経外科の三島有美子先生と循環器内科の相川忠夫先生より、脳や心臓の血管治療(IVR)についての特別レクチャーが行われました。

レクチャー後は、実際のカテーテルやワイヤーなどの医療器具を手に取り、その感触を確かめながらVR体験へ。普段は決して触れることのできない「命を守る本物の道具」を前に、子供たちの目は期待と興味でキラキラと輝いていました。

非常に繊細なワイヤー操作が必要とされる高難度の手技ですが、先生方の熱心な指導を受けながら、一人ひとりが粘り強く課題をクリア。最新医療の技術と、それを支える手の感覚の大切さを同時に学ぶ、深い体験となりました。

 

「血管内治療とは?」のレクチャーを受けている様子

 

「ステント」という狭くなった血管を広げたままキープしてくれる小さな器具の説明では、ステントを実際に触って体感しました。

 

ガイドワイヤーを通す練習の様子です。

 

脳動脈瘤の治療の様子。「カテーテル」や「コイル」という器具を使って治療しています。

 

 

【腹腔鏡ブース:Surgical SASUKE & チーム手術体験】

「一人」から「チーム」へ。腹腔鏡が繋ぐプロの絆

腹腔鏡ブースでは、特殊な鉗子(かんし)を操り、星飾りの紐通しで技術を磨く「Surgical SASUKE」の個人戦タイムトライアルを実施しました 。細かな操作に苦戦しながらも、集中して挑む姿はまさに未来の外科医そのもの。

さらに後半では、実際の手術室を再現したシミュレーターを使用し、二人一組での手術体験に挑戦しました 。一人がカメラで術野を照らし、もう一人が鉗子で処置を行う。この「カメラと執刀医の連携」を通じて、医療現場において技術と同じくらい重要な「チームワーク」の大切さを肌で感じる時間となりました

腹腔鏡の鉗子を使って「星通し」にチャレンジ!

 

 

手術体験では、本物そっくりのカメラを使用しました。手術はチームワークが大事なので一体感が生まれていました。

 

 

 

笑顔で幕を閉じた閉会式

未来を照らす「ロールモデル」としての学生チューター

本セミナーでは、現役の医学部学生(M2〜M6)たちがチューターとして参加しました 。子供たちにとって、少し年上の「お兄さん・お姉さん」である学生スタッフとの交流は、医療を身近に感じ、自らの将来の夢を描く大きなきっかけとなりました。憧れの眼差しで質問し、真剣に応える姿は、教育効果の高さを物語っていました。

体験終了後のアンケートでは、「時間が足りなかった」「もっと長く体験したい」という、嬉しい悲鳴とも言える熱い感想が多く寄せられました 。初対面の子供たち同士も、医療という共通の目標に向かって切磋琢磨し、活発に交流する姿が非常に印象的でした。

本セミナーを支えてくださった各診療科の先生方、看護師の皆様、ご協力いただいた企業様、そして全力で子供たちをサポートしてくれた学生スタッフの皆様に心より感謝申し上げます 。

私たちシミュレーションセンターは、これからも次世代を担う子供たちの「夢」を全力で応援し続けます。

 

Surgical SASUKEと内視鏡SASUKEの成績上位者に賞品が贈られました。

 

受賞者には感想も述べてもらいました。

 

一人ひとりが竹田先生より認定証を受け取りました。

 

 

 

◆ご協力をいただきありがとうございました◆

竹田純先生、尾崎理恵先生、土谷葉名子先生(産婦人科)

河邊千佳先生、上田要先生(麻酔科)上田久美子先生(消化器内科)

橋口忠典先生(食道・胃外科)杉本起一先生、土谷祐樹先生(大腸・肛門外科)

三島有美子先生(脳神経外科)相川忠夫先生(循環器内科)

堺恭子さん(看護師/難病支援センター)

藤盛鐘子さん(看護師/治験センター)

高橋友子さん(看護師/シミュレーションセンター)

志水豪士さん、小堀陽子さん、三木田幸子さん(シミュレーションセンター事務局)

高木政志さん(M6)、山梨真拓さん、森安佑未さん、黒田千佳乃さん(M4)、福田幸純さん、木村研さん、中村みことさん、石坂南果さん(M3)池畑帆夏さん(M2)