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脳神経外科BSL(M5)

practical training using simulation  —シミュレーターを使用した授業実践レポート—

シミュレーションセンターで実践される医学部のトレーニングについて紹介します。第一回目は脳神経外科BSLをレポートしました。

 

【脳神経外科BSL(M5)】 担当:寺西功輔先生

医学部5年生の脳神経外科BSLの一環として、アンギオグラフィVRシミュレーターを用いた脳血管インターベンションのトレーニングを行っています。

この実習での目標は、脳血管手術で使用する医療機器の種類や特徴を知り、シミュレーターを通して脳神経外科手術を体験すること、とされています。

はじめに寺西医師から、ガイドワイヤーやカテーテル、コイル、ステントなど、10種類以上にわたる機器について解説があります。学生が手に取れるよう、実際に臨床で使用されている機器が用意され、各種カテーテルやワイヤーの形状、硬さを実際に触ってみることで確認したり、コイルの巻かれていく様子を手のひらの上で検証したり等、ハンズオンでの楽しさが学生に見られます。その際、実際の手術でのリスクについても解説があります。また、「それらの医療機器がどのような症例で使えるか」「日本と海外での規制や治療の違い」「医療機器の価格」などの話も織り込まれ、「医療経済を分かった上で治療するのも大切である」との寺西医師からのメッセージが伝えられています。

これらの知識を踏まえて、いよいよシミュレーターを使用したトレーニングに入っていくわけです。

 

アンギオグラフィVRシミュレーターでは、下記の2つのコンテンツをトレーニングされています。

 

⓵ガイドワイヤー・トレーニング

実習の中で「ワイヤー操作がインターベンションの基本」とおっしゃられていますが、このコンテンツを通して、ワイヤーの持ち方や押し方、種類の選択の仕方をトレーニングされています。手元のワイヤーの動きと、患者さんによって異なる様々な形状の血管の中で動くワイヤーの動き(特に末梢の血管)とのタイムラグを体得するためには、ガイドワイヤーを入れて練習を重ねる必要があり、シミュレーターはそのトレーニングに有効とのこと。また、助手の役割も重要ですが、ズームやCアームの操作もこのコンテンツで体得することができ、寺西医師より操作のコツについての細かなご指示があります。コンテンツは、術者と助手の2人ペアで血管の瘤を模したツリーにガイドワイヤーを挿入して色を付けていく内容となっています。

 

 

⓶血管内治療/脳血管インターベンション(動脈瘤のスパイラルコイル塞栓)

頭蓋内の動脈瘤にコイルを入れて塞栓するコンテンツを実践。脳血管の名称等を確認後、術者にはカテーテルとガイドワイヤーの選択の仕方、挿入のコツ、コイルの大きさや長さの選択の仕方、コイルの巻き方等を、助手にはカメラワークやマーカーの見方等をご教示されます。実際にコイルを埋め込む際は、頭の中でワイヤーの硬さやコイルの大きさ、長さ、形をシミュレーションする必要があるため、実習中も学生が自分で考えて選択するようにとの指示があります。動脈瘤の大きさと選択したコイルのサイズが合わなかった際は、プランを立て直し、修正することがシミュレーターでのトレーニングでは可能です。実習でも学生自らがサイズや長さを選択し直したり、マイクロカテーテルの瘤への挿入位置を修正したり、といったシミュレーションが行われていました。