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ひらめき☆ときめきサイエンス 第14回医療体験セミナーを開催いたしました

8月3日(土)に第14回順天堂大学医療体験セミナーを開催いたしました。今回の医療体験セミナーは日本学術振興会の事業「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」として科学研究費補助金の助成を受けて行われました。

また、今回のプログラムは「ロボット手術やESD内視鏡手術などの最新の手術体験を通して、戦略的癌治療を学ぼう!」というテーマで行い、外科の中でも「癌治療」に特化した内容にしています。先進的な手術や付随する手技を講義と実習・体験を通し、学びを深めてもらうセミナーとしました。

対象は高校生24名です。当医院の外科医師、看護師、企業様の協力・賛助を受け大盛況に終えた、その様子をご紹介いたします。

 

 

■開会式

シミュレーションセンター副センター長の折田先生より、「ぜひ今回の体験を通して、医療に、そして外科や手術に興味を持ってもらいたい」こと、またこのセミナーが科研費「ひらめき☆ときめきサイエンス」の助成を受けて行われていることが述べられました。

指導者の先生から担当する体験内容の紹介とチューターの医学生の紹介があり、いよいよスタート!

 

■講義

まずは本日のテーマである「癌治療」について講義がありました。「そもそも癌ってなに?」という定義から始まり、「どのようにして見つけるのか」「どんな治療があるのか」「今後の癌治療はどんな方向に進んでいくか」などのお話があり、途中で手術中の動画などが提示されるとリアルな映像に真剣に見入っていました。

 

■医療体験プログラム

【腹腔鏡下鉗子トレーニング SASUKE】
グラスタワーを積み上げたり、ひもにリングを通したり、ダイスをつかんで移動させたりと、鉗子でプラスチックを掴むことは容易ではありませんが、ゲーム感覚で楽しんで取り組んでいました。実際の腹腔鏡手術でもこの鉗子を使っている話になると「自分ももっと鉗子操作が上手にできるようになりたい」と意欲を見せる方も見られました。

 

【ESD手術・VR内視鏡検査】
ESD手術では、医師によるデモンストレーションを見学した後、局注とデュアルナイフを用いての切開を行いました。体験中に表皮にある癌にのみ有効な手術であることや様々なナイフの種類があること、今後さらに進歩していく手術であること等をレクチャーすると大変興味をもって取り組んでいました。VR内視鏡検査シミュレーターでは内視鏡スコープの持ち方や挿入の仕方を学び、実際に体内に挿入する感覚も体験してもらいました。

ESD手術シミュレーション

 

VR内視鏡シミュレーターでスコープの持ち方や挿入の仕方を体験・練習します。

 

【電気メス・癒着防止体験】
電気メスでは開腹手術での腫瘍摘出体験を行いました。対極板の役割や組織中の水分を蒸発させることで切れるという電気メスの仕組みをレクチャー。「なるほど!そうなのか!」と手技と共に原理の理解も深まったようです。癒着防止体験では、はじめに「癒着とは何か」から「癒着防止剤を使う重要性」までを理解した後、実際に鏡視下手術における癒着防止体験を行いました。

電気メス体験

 

癒着防止体験。まずは解説スライドで「癒着防止」について理解してもらいました。

 

その後、実際に癒着防止フィルムを貼付する体験も行いました。

 

 

【VR手術シミュレーション】
ロボット支援手術シミュレーションでは、子宮癌の設定で全摘術を体験してもらいました。はじめは一人で複数の操作をすることに難しさを感じていたが、次第に没入感の中で一生懸命に摘出しようと切除や止血、カメラ操作を行っている姿が見られました。腹腔鏡手術シミュレーションでは小腸イレウスの癒着剥離と胆嚢摘出術を体験。誤って血管にデバイスを入れ出血させてしまうと「このような難しいことを人に対して行っている外科医はすごい」「難しいが楽しい」といった声が聞かれました。

ロボット支援下手術シミュレーション

 

VR腹腔鏡下手術シミュレーション

 

 

【検査/採血・腹部エコー検査】
手術において術前・術後の検査は大変重要であることをセミナー冒頭の講義で学び、その中で2つの検査方法を実践。採血では血管の走行や駆血帯を巻く意味などのレクチャーで理解を深めながら穿刺・採血を体験しました。腹部エコー検査では、超音波画像とその解剖図が同時に表示されるシミュレーターを使用したため、観察している部位がどのあたりなのかを理解しながら検査できたようです。

採血体験の様子

 

腹部エコー検査。超音波画像と解剖図を照らし合わせて確認しながら観察できます。

 

 

【医学生へ質問タイム】
医療の道を選び進んでいる医学部の学生へ「なぜ医師になりたいと思ったのか」「辛い受験勉強をどのように乗り切ったのか」「全寮制(1年次)だが、寮生活はどうだったか」など、ざっくばらんに質問をし、グループで和気あいあいと交流を行った。

 

 

■閉会式
医療シミュレーション体験を修了したことに対し、北出副センター長より、一人一人に認定証が手渡されました。また、コンペディション形式にしていたSASUKEの順位発表と表彰が、SASUKE担当(考案者でもあります)の北出教授よりありました。
また、一人ずつ感想を発表してもらいましたが、「医師や看護師のすごさや大変さがわかったので、参加して良かった」「自分も更に医療の道に進みたいと思った。」等の感想があり、主催者側は大変嬉しく聞かせていただきました。

北出教授より認定証やSASUKE上位者へ賞品の授与が行われました。

 

お一人ずつ感想を発表してもらいました。

 

 

お疲れ様でした!本日の体験で癌治療について少しでもご理解が深まったり、今後の進路選択のお役に立てましたら幸いです。

 

■■■ご協力ありがとうございました■■■

北出真理先生(産婦人科教授/シミュレーションセンター副センター長)、折田創先生(食道・胃外科/シミュレーションセンター副センター長)

橋本貴史先生、那須元美先生、渡邉武大先生(食道・胃外科)、村上圭祐先生(産婦人科)、本庄薫平先生(大腸・肛門外科)、山本桃子先生(消化器内科)、山本哲也先生(臨床研修センター)、山本育子さん(看護部教育課 課長)、来間一平さん(看護部B棟手術室)

コヴィディエンジャパン株式会社様、科研製薬株式会社様

畑里奈さん、炭田芝穂さん(M6)、山﨑響さん(M3)、黒瀬隼吾さん、六笠花保里さん、福田幸純さん(M2)、徐茉那さん、福井心遥さん(M1)